る
雪ふる一人一人ゆく
落葉あたたかうして藪柑子
茶の木にかこまれそこはかとないくらし
或る友に
月夜、手土産は米だつたか
あるけば蕗のとう
椿ひらいて墓がある
ひつそりかんとしてぺんぺん草の花ざかり
いちりん※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]の椿いちりん
音は朝から木の実をたべに来た鳥か
ぬいてもぬいても草の執着をぬく
もう暮れる火の燃え立つなり
人が来たよな枇杷の葉のおちるだけ
けふは蕗をつみ蕗をたべ
何とかしたい草の葉のそよげども
すずめをどるやたんぽぽちるや
もう明けさうな窓あけて青葉
ながい毛がしらが
こころすなほに御飯がふいた
てふてふうらからおもてへひらひら
やつぱり一人がよろしい雑草
けふもいちにち誰も来なかつたほうたる
すツぱだかへとんぼとまらうとするか
かさりこそり音させて鳴かぬ虫が来た
行乞途上
松風すずしく人も食べ馬も食べ
けふもいちにち風をあるいてきた
何が何やらみんな咲いてゐる
あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ
あざみあざやかなあさのあめ
前へ
次へ
全34ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング