か月かげとなり木のかげ
残された二つ三つが熟柿となる雲のゆきき
みんなではたらく刈田ひろびろ
誰も来ないとうがらし赤うなる
病めば梅ぼしのあかさ
なんぼう考へてもおんなじことの落葉ふみあるく
落葉ふかく水汲めば水の澄みやう
病中 二句
寝たり起きたり落葉する
ほつかり覚めてまうへの月を感じてゐる
月のあかるい水汲んでおく
白船老に
あなたを待つてゐる火のよう燃える
ちよいと茶店があつて空瓶に活けた菊
多賀治第二世の出生を祝して
お日様のぞくとすやすや寝顔
悔いるこころに日が照り小鳥来て啼くか
落葉ふんで豆腐やさんが来たので豆腐を
枯れゆく草のうつくしさにすわる
冬がまた来てまた歯がぬけることも
噛みしめる味も抜けさうな歯で
竹のよろしさは朝風のしづくしつつ
霽れて元日の水がたたへていつぱい
舫ひてここに正月の舳をならべ
枯木に鴉が、お正月もすみました
どこからともなく散つてくる木の葉の感傷
しぐれつつうつくしい草が身のまはり
ひつそり暮らせばみそさざい
ぶらりとさがつて雪ふる蓑虫
雪もよひ雪にならな
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