柳があつて柳屋といふ涼しい風
みんなたつしやでかぼちやの花も
夕立晴れるより山蟹の出てきてあそぶ
そこから青田のよい湯かげん
昼寝さめてどちらを見ても山
旅はいつしか秋めく山に霧のかかるさへ
よい宿でどちらも山で前は酒屋で
すわれば風がある秋の雑草
ここで寝るとする草の実のこぼれる
萩がすすきがけふのみち
白船居
うらに木が四五本あればつくつくぼうし
道がなくなり落葉しようとしてゐる
木の葉ふるふる鉢の子へも
柳ちるそこから乞ひはじめる
よい道がよい建物へ、焼場です
長門峡
いま写します紅葉が散ります
あるけば草の実すわれば草の実
春が来た水音の行けるところまで
梅もどき赤くて機嫌のよい目白頬白
春寒のをなごやのをなごが一銭持つて出てくれた
さて、どちらへ行かう風がふく
この道しかない春の雪ふる
けふはここまでの草鞋をぬぐ
石鴨荘
草山のしたしさは鶯も啼く
いつとなくさくらが咲いて逢うてはわかれる
橋畔亭
先生のあのころのことも楓の芽
樹が倒れてゐる腰をかける
津島同人に
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