がある。
銭はなくてもゆとり[#「ゆとり」に傍点]がある!

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いろ/\さま/″\
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木賃宿は、多くの人は御飯四合[#「四合」に傍点]貰う(女は三合[#「三合」に傍点])、それを三度分にする人もあるし、二度で食べてしまう人も少くない、だいたい流浪者はお昼をぬかす二食が普通だ。
私は五合[#「五合」に傍点]食べる、大食の方だが、いつも三度に食べるのだから(お弁当を持って出るので)、あたりまえかも知れない、もっとも四国の宿の御飯は他の地方のそれよりも正確で、量が多いことは間違はない。

高知で眼についた看板二三――
安めし[#「安めし」に傍点]、これは適切だ、安宿[#「安宿」に傍点]も適切(木賃宿は普通だが、簡易宿、経済宿はかえっておもしろくない)、かん安売[#「かん安売」に傍点]、これはどうかと思う、かん[#「かん」に傍点]は棺である。
[#ここで字下げ終わり]

 十一月十五日 秋晴、滞在。

早起、身心軽快、誰も愉快そうだ、私も愉快にならざるをえないではないか。
八時から十一時まで行乞、なぜだかいやでいやでたえがたくなって、河原に横ってお弁
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