四国遍路日記
種田山頭火

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)虱《ムシ》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大|魚籠《ビク》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)十郎兵衛の遺跡[#「十郎兵衛の遺跡」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いろ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

 十一月一日 晴、行程七里、もみぢ屋という宿に泊る。

――有明月のうつくしさ。
今朝はいよいよ出発、更始一新、転一歩のたしかな一歩を踏み出さなければならない。
七時出立、徳島へ向う(先夜の苦しさを考え味わいつつ)。
このあたりは水郷である、吉野川の支流がゆるやかに流れ、蘆荻が見わたすかぎり風に靡いている、水に沿うて水を眺めながら歩いて行く。
宮島という部落へまいって十郎兵衛の遺跡[#「十郎兵衛の遺跡」に傍点]を見た、道筋を訊ねたら嘘を教えてくれた人がある、悪意からではなかろうけれど、旅人に同情がなさすぎる。
発動汽船で別宮川[#「別宮川」に傍点]を渡して貰う、大河らしく濁流滔々と
次へ
全40ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング