だ、犬の敵性[#「犬の敵性」に傍点]。
□昨日は犬に咬みつかれて考えさせられ、今日は犬になつかれて困った、どちらも似たような茶色の小犬だったが。
□“しぐるるや犬と向き合つてゐる”

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四国をまわっていて、気のつくのは空家[#「空家」に傍点]が多いことである、ベタベタビラを張られた空家が見すぼらしく沿道に立ちならんでいる!
阿波の着倒れ[#「阿波の着倒れ」に傍点]、土佐の食い倒れ[#「土佐の食い倒れ」に傍点]、というそうな。
阿波では飲食店、土佐では酒を売る店[#「酒を売る店」に傍点]が多すぎる!
土佐は南国暖国、秋のおわりに、豆苗が伸び、胡瓜がたくさんぶらさがっている、よい国だ。
今度、四国を巡遊して、道路がよくなっていることを感じたが、橋梁が至るところに新らしく美しいのを観た。
米が二度出来るのは安芸郡――この地方である、伊尾木は殊に温暖で収穫も多いらしい。

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(十一月七日)
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草の実こんなにどこの草の実
ここで泊らう草の実払ふ
牛は花野につながれておのれの円をゑがく
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途上即事
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