、ありがたさよ。
いつもは雀が稀なのに(雀の緑平老に不平をおこさせたほど)今日はたくさん雀がきてゐる、十羽、二十羽、三十羽、まさか風がふくからでもなからう。
午後、樹明君来庵、魚と焼酎とをおごつてくれる、ツマは畑から、トマト、胡瓜、蓮芋、紫蘇、とても豊富である、そして飯の代りとしてウドン、たらふく飲んで食べて酔ふた、あぶない/\。
風が強い、吹きとばされさうだつた、樹明君を途中まで送つて、それから局まで行つてハガキを投凾、そしてフラ/\しながら戻る、戻つて茶を沸かし飯を食べる、なか/\酔が醒めない、ハダカで寝る、アブラムシに笑はれた。
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・郵便屋さんはがきと蠅とをいていつた
・うまくのがれた蠅めが花にとまつてゐる
・風ふく身のまはりおほぜい雀がきてあそぶ
・どちらへあるいてもいぬころぐさの花
・いぬころぐさいぬころぐさと風ふく
・ほろりとひかつて草の露
・風の風車の水車水をくみあげる
・風のなかおとしたものをさがしてゐる
・風のなか買へるだけの酒買うてきた
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七月廿五日[#「七月廿五日」に二重傍線]
すてきに早起して、佐波川沿岸地方を
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