気[#「空気」に傍点]を食べてさへすましたこともあるのだから。
もろ/\の虫、いろ/\の草、さても其中庵はにぎやかである。
禅海さんからハガキが来たが、私製ハガキの規定通りになつてゐないものだから、不足税を三銭徴収された、やつと五厘銅貨で納めたが。
くもり、ばら/\雨、トマトのい[#「い」に「マヽ」の注記]つくしい色を食べる(じつさいうれたトマトの肌はうつくしい)。
[#ここから2字下げ]
・糸瓜やうやく花つけてくれた朝ぐもり
をのれにひそむや藪蚊にくんだりあはれんだりして
・蝉時雨もう枯れる草がある
・昼しづかな焼茄子も焼けたにほひ
・けふまでは生きてきたへそをなでつつ
・はひまはつた虫は見つけた穴にはいつた
・へちまよ空へのぼらうとする
[#ここで字下げ終わり]
七月廿四日[#「七月廿四日」に二重傍線]
ようねむれた、行乞すべく早う起きたが、ばら/\降つて風模様なので見合せる。
一円ばかり欲しいな、と思ふと同時に、蝉の声はよいな、とも思ふ。
天地うるほひあり、といつたやうな感じ。
自然荘厳[#「自然荘厳」に傍点]――自然浄土[#「自然浄土」に傍点]である。
△梅干のうまさよ
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