い酒」に傍点]はしば/\飲んではならない酒[#「飲んではならない酒」に傍点]であり、飲みたくない酒[#「飲みたくない酒」に傍点]でもある、飲まなければならない酒[#「飲まなければならない酒」に傍点]はよくない酒である。
飲みたい酒[#「飲みたい酒」に傍点]、それはわるくない。
味ふ酒[#「味ふ酒」に傍点]、よいかな、よいかな。
酒好き[#「酒好き」に傍点]と酒飲み[#「酒飲み」に傍点]との別をはつきりさせる要がある。
酒好きで、しかも酒飲みは不幸な幸福人だ[#「不幸な幸福人だ」に傍点]。
   ※[#丸中黒、1−3−26]酒に関する覚書(三)
酒は酒嚢に盛れ、酒盃は小さいほど可。
独酌三杯、天地洞然として天地なし。
さしつ、さされつ、お前が酔へば私が踊る。
酒屋へ三里、求める苦しみが与へられる歓び。
酒飲みは酒飲めよ、――酒好きに酒を与へよ。
飲むほどに酔ふ、それが酒を味ふ境涯である。
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・かどは食べものやで酒もある夾竹桃
・夜風ふけて笑ふ声を持つてくる
   悼 緑石二句
 波のうねりを影がおよぐよ
 夜蝉がぢいと暗い空
   追加数句
・日ざかりのながれで洗ふ
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