は旅のふんどし
・いろ/\の事が考へられる螢とぶ
・なんといつてもわたしはあなたが好きな螢《ホウタル》
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七月廿二日[#「七月廿二日」に二重傍線]
昼も暑く夜も暑かつた、今日も我儘ながら休養。
仕事をする人々――田草取り、行商人、等々――に対して、まことにすまないと思ふ。
朝、手紙を二通書いて出す、一つは句稿を封入して白船老へ、一つは緑石君の遺族へお悔状。
途上、運よく出逢つた屑屋さんを引張つてきて新聞紙を売る、代金弐十弐銭也、さつそく買物をする、――ホヤ八銭、タバコ六銭、シヨウチユウ四銭、そして入浴して、まだ一銭余つてゐる!
南無新聞紙菩薩、帰命頂礼。
けふも漬茄子、やつぱりうまい、青紫蘇の香は何ともいへない。
夜は寝苦しかつた。
盆踊の稽古らしい音がきこえる、それは農村のヂ[#「ヂ」に「マヽ」の注記]ヤズだ、老弱男女、みんないつしよに踊れ、踊れ。
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・炎天の水のまう蛇のうね/\ひかる
炎天の下にして悶えつゝ死ぬる蛇
・伸びて蔓草のとりつくものがない炎天
晴れわたり青いひかりのとんぼとあるく
いちにち黒蜂が羽ばたく音にとぢこも
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