炎天の鶏を売りあるく
・田植べんとうはみんないつしよに草の上で
 カフヱーもクローバーもさびれた蓄音器の唄
・雑草しづかにしててふてふくればそよぐ
・ちぎられてもやたらに伸びる草の穂となつた
   改作附加
笠きて簑きてさびしや田植唄はなく
[#ここで字下げ終わり]

 六月廿六日[#「六月廿六日」に二重傍線]

いつからとなく、早く寝て早く起きるやうになつた、此頃は十時就寝、四時起床、昼寝一時間ばかり、そして純菜食[#「純菜食」に傍点](仕方なしでもあるが)、だから、身心ます/\壮健、ことに頭脳の清澄を覚える、こんな風ならば、いつまで生きるか解らない、長生すれば恥多しといふ、といつて自殺はしたくない、まあ、生きられるだけは生きよう、すべてが業だ、因果因縁だ、どうすることもできないし、どうなるものでもない、日々随波逐波、時々随縁赴感、それでよろしい、よろしい。
今朝は碧巌の雲門日々好日[#「雲門日々好日」に傍点]を味読した。
新聞屋さんが新聞を持つてきて、今月分だけは進呈しますといふ、タダより安いものはない、よからう。
掟三章[#「掟三章」に傍点](其中庵来訪者の)を書いて貼つて置いた
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