い[#「今日を今日として私の力の全き今日たらしめる外ない」に傍点]。
先日の吐瀉以来、私の胃は小さくなつたやうだ、食気が薄くなつた、とにかくそれだけ私の身心は安らかになつたのである。
ひとりで、じだらくにして、粗衣粗食してをれば、周囲がしづかで、すゞしくて、のんきでゆつたりしてくる。
[#草木塔の図(fig48251_01.png)入る]
其中一人にしてまた万人なり[#「其中一人にしてまた万人なり」に傍点]。
酒の酔心地、これこそ冷暖自知の境。
△句は武器でなくて玩具だ、まさに持つべき玩具[#「持つべき玩具」に傍点]だ。
活きるとは味ふことなり[#「活きるとは味ふことなり」に傍点]、味ふより外に活きることなし。
△夏はうれしや、プロの楽園、ルンペンの浄土、浴衣があれば蚊帳があればゆつくり暮らせる、ハダカで暮らせ[#「ハダカで暮らせ」に傍点]、身も心も[#「身も心も」に傍点]、君も僕も[#「君も僕も」に傍点]。
夕方あんまり所在ないから、新町まで出かけて焼酎一杯、ついでに酢も一合求める、それから椹野河原へいつて宵待草を一株ひきぬいてきて庵の前に植ゑる、句も二つ拾つた、樹明君から雑草[#「
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