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眼がさめたら夜明けらしいのですぐ起きる、酔うてそのまま寝てゐたのでさん/″\蚊にくはれてゐる。
裏山をあるく、青草に寝ころんで雲をながめる。
伊東さんがやつてくる、飯を炊いていつしよに食べる、まもなく国森さんがやつてくる、大村さんもやつてくる、とう/\焼酎を買うてみんなでちび/\と飲む、とかくするうちに日も傾いたので、伊東さんを送つて駅まで行く、同時に大山さんを迎へるつもり。
大山さんと清水さんとはちやんと庵にきてすはつてゐられた。
焼酎と油揚餅と梅酢との中毒で私は七顛八倒しなければならなかつた、大村さんが医者へ走る、樹明君が介抱する、お客さんが自分で賄をする、主客も何もあつたものぢやなくなつてしまつた。
私は腹の痛みで呻きつゞけた、しかし皆さんのおかげで、悪運強くして死なゝかつた。
とにかく意味ふかい一夜ではあつた。
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・朝焼あほげばぶらさがつてきた簑虫
・草の青さに青い蛙がひつそり
[#ここで字下げ終わり]
庵にも赤い花が咲いてゐる――と誰かゞいつた。
七月三日[#「七月三日」に二重傍線]
昨夜おそくまで看病してくれた大村君と樹明君とが朝から見舞に
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