来てほゝづき草を持つていつた
ま昼青い葉が落ちる柿の葉
・ぢつとしてをればかなぶん[#「かなぶん」に傍点]がきてさわぐ
・けふもいちにち誰も来なかつた螢
[#ここで字下げ終わり]
六月廿七日[#「六月廿七日」に二重傍線]
梅雨模様で降りだしたが、すぐまた晴れて暑かつた。
墓地に咲いてゐた夾竹桃を切つて活ける、赤い夾竹桃はまことに南国の夏の花である、美しい情熱が籠つてゐる。
何もかも生きてゐる[#「何もかも生きてゐる」に傍点]、……とつく/″\思ふ、畑を手入れしてゐる時に殊にこの感が深い(胡瓜の蔓など実に不可思議である)。
昼寝はよいかな[#「昼寝はよいかな」に傍点]、まさに一刻千金に値する(二刻は百金!)。
遠く西方の山で郭公がしきりに啼いてゐた。
△漬物は日本人にはなくてはならぬ食物である、私は今日、大根を間引いて漬けた、明日は食べられる、おいしからうぞ。
何かにつけて、彼及彼女を思ひだす、見頓思漸、理先事後、詮方もない事実である。
晩にはお菜がないので、小さい筍を抜いて煮て食べた、一皿に盛るだけしかなかつたが、ダシもなかつたが、それでも十分うまかつた。
△晴耕雨読、そして不
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