飯はたつぷり
 夕飯 刺身
    煮魚と菜葉
    おしたし
 朝飯 味噌汁
    おろし大根
    菜漬
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 五月十九日[#「五月十九日」に二重傍線]

早く起きて、そこらを歩く、田園の朝景色はよいかな、帰心が水の湧くやうにおこる。
徳山行乞、八時から二時まで。
今日の特種としては、下駄店の主人が間違つて、鉄鉢に入れた十銭白銅貨を返して喜ばせ、しまうたやの娘から五銭白銅貨を戴いて喜んだ事の二つであつた。
途上の買物、――
麦捍[#「捍」に「マヽ」の注記]帽子特価二十五銭、茶碗二個十銭。
帰途、白船居でコツプ酒をよばれる、白船君のよい人であるに間違はないが、奥さんもまたよい人であることに間違はない、だから白船居はいつも春風たいとうだ。
福川まで歩いて、それから汽車、徃路一日が帰途一時間だつた。
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  行乞所得
   米 一升四合
昨日
   銭 二十九銭
   米 二升
今日
   銭 五十五銭
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 五月十九日[#「五月十九日」に二重傍線]

帰庵したのが六時半、夕あかりに雑草がはびこ
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