行乞記
室積行乞
種田山頭火
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)半熟飯《ナカゴメ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いよ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
[#ここから2字下げ]
一鉢千家飯
山頭火
□春風の鉢の子一つ
□秋風の鉄鉢を持つ
雲の如く行き
水の如く歩み
風の如く去る
一切空
[#ここで字下げ終わり]
五月十三日[#「五月十三日」に二重傍線] (室積行乞)
まだ明けないけれど起きる、まづ日暦を今日の一枚めくり捨てゝから空模様を見る、有明月の明るさが好晴を保證してゐる。
今日はいよ/\行乞の旅へ旅立つ日だ。
いろんな事に手間取つて出かけるとき六時のサイレン。
汽車賃が足らないから、幸にして、或は不幸にして歩く外ない。
長沢の池はよかつた、松並木もよかつた。
大道――プチブル生活のみじめさをおもひだす。
それから、――それから二十年経過!
佐波川の瀬もかは
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