! 何と醜い顔! それが私のだつた!
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新国道はまつすぐにして兵列がくる
・草へ脚を投げだせばてふてふ
・春ふかい草をふみわけ蛇いちご
・たゞ暑くゆきつもどりつローラーのいちにち
・うしろは藪でやぶうぐひす
・うらから風もひとりですゞしい
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昨日も今日も行乞相はわるくなかつたが、それでも時々こだはつた、捨てゝも、捨てゝも、ちぎつても、ちぎつても、執着はのこるものかな。
夜はぐつすりと寝た、近来にない熟睡だつた。
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今日の行乞所得 今日の買物
銭 六十四銭 蓮芋苗 五銭
米 一升三合 焼酎 二十銭
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五月三十一日[#「五月三十一日」に二重傍線]
けさは早かつた。
阿知須行乞、わるかつた、風はふくし、人気はよくないし、気分はいら/\するし、同行が多いし(三人)、労れてはゐるし、……さう/\にして帰庵した。
庵が、やつぱり、よろしい、さみしいけれどやすらかで。
△鮮人の子供が喧嘩してゐる。
うれしいたより、かなしいたより、黎々火君からはへちまのたね[#「へちまのたね」
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