、気はすゝまないけれど陶行乞、五時間ばかり歩きまはつた。
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米 二升四合
銭 十七銭(外に樹明君が色紙代として二十銭喜捨)
[#ここで字下げ終わり]
今日の買物はよかつた。――
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一金七銭  色紙二枚
一金六銭  焼酎五勺
一金十一銭 バツトとなでしこ
一金九銭  ハガキ六枚
一金三銭 草鞋一足
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六時のサイレンをきいてから樹明居へ出かける、風呂に入れて貰つて、同道して冬村居へ、めでたし冬村君、冬村君御馳走でした、酔うてふらふらして戻つて、そのまゝごろりと寝てしまつた。
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  祝句
空はさつきの、一人ではない
青葉に青葉がふたつのかげ
[#ここで字下げ終わり]
端午が近づいた、笹の葉を活けて粽をの[#「の」に「マヽ」の注記]しのぶ。
馬刀貝を食べつゝ旦浦時代の追憶にふける。

 五月廿七日[#「五月廿七日」に二重傍線]

海軍記念日、上々吉の天気、のんびりした一日だつた。
朝、不三生さんが蜊貝をどつさり持つてきてくれた、しばらく話してゐるところへ樹明君、昨夜の酔態を話しあふべく来庵。
私も昨夜の着
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