とで私をうつた、私は今更のやうに私の生活について、存在の意義について考へた、今更どうなるものでもないけれど。――
私の句作には私だけの価値、私の生存には私だけの意味があることを私は信じてゐる、信じてはゐるが、同時に私は私といふ人間があまりにみすぼらしいことを恥ぢてゐる、――かういふ私をほんとうに理解してくれる友は誰か!
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いつぞやの鉄鉢の句訂正
・霰、鉢の子の中の
冬村君新婚の祝句として
・青葉に青葉が二つのかげ
・竹の子の竹になつてならんでゐる
・空は皐月の、一人ではない
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五月廿四日[#「五月廿四日」に二重傍線]
今朝も早いも遅いもなかつた、ちつとも眠れなかつたのだから。
老いて眠れない、老いて眼がよくない、――老境しみ/″\だ。
どうも私はクヨ/\しすぎる、ケチ/\しすぎる、ゆうようとして生きろ。
今日も行乞はダメ、新聞を隅から隅まで読む、やめてゐたのだけれど、T配達が好意を持つて、持つてきてくれるのである、とにかく新聞と現代生活とは一日も離れられない。
午後は果して雨となつた、しめやかな雨だ、たま/\発見した十銭白
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