・やつぱりおいしい水のおいしさ身にしみる
 うれしい雨の紫蘇や胡麻や茄子や胡瓜や
[#ここで字下げ終わり]

 八月四日

曇、どうやら風雨もおさまつたので、朝早く一杯いたゞいて出立、露の路を急いで展墓(有富家、そして種田家)、石古祖墓地では私でも感慨無量の体だつた、何もかもなくなつたが、まだ墓石だけは残つてゐたのだ。
青い葉、黄ろい花をそなへて読経、おぼえず涙を落した、何年ぶりの涙だつたらうか!
それから天満宮へ参拝する、ちようど御誕辰祭だつた、天候険悪で人出がない、宮市はその名の示すやうにお天神様によつて存在してゐるのである、みんなこぼしてゐた。
酒垂公園へ登つて瀧のちろ/\水を飲む、三十年ぶりの味はひだつた(おかげで被布を大[#「大」に「マヽ」の注記]の枝にひつかけて裂いたが)。
故郷をよく知るものは故郷を離れた人ではあるまいか。
東路君を訪ねあてる、旧友親友ほどうれしいものはない、カフヱーで昼飯代りにビールをあほつた、夜は夜でおしろいくさい酒をしたゝか頂戴した、積る話が話しても話しても話しきれない。
三田君にちよつと面接、斉藤さんへは電話で挨拶、いろ/\くいちがつたり、こんがら
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