ことも出来ないものである。
七月十日
ほんとうによくふると、けさはおもつた、頭痛がしてぼんやりしてゐた。
夢精! きまりわるいけれど事実だから仕方がない、もつともそれだけ vital force が残つてるのだらう!
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水をたゞようて桐一葉
・夕焼うつくしい旅路もをはり
□
・青葉ふかくいち高い樹のアンテナ
・ゆふべのラヂオの泣きたうなつた
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七月十一日
四時前に起きた、掃除して、湯にはいつて、朝課諷経してゐるうちに、やうやく夜が明けた。
すなほでない自分[#「すなほでない自分」に傍点]を見た、同時に自分の乞食根性を知つた。……
今日はどうやらお天気らしいので近在を行乞するつもりだつたが、どうしたわけか(酒どころか煙草すらのめないのに)、痔がわるくて休んだ、コツ/\三八九復活刊行の仕事をやつた。
晴れて急に暑くなつた、ぢつとしてゐて、汗がたら/\流れる、いよ/\真夏を感じる、私はどんなに暑くても苦しくても、冬よりは夏をえらぶ、私の肉体が寒さよりも暑さに対して抵抗強いからでもあるが、浴衣一枚で何のこだわりもない生活が好ま
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