#「ふくいく」に傍点]としてにほふ、なまめかしい、なやましいにほひだ、しかし酒の香ほどは好きでない、むろん嫌いではない、しばらくならば(これは印肉入にする)。
夕方になつて腹が空いてくると、ひつかけたくなる、大急ぎで、詰めこんで、アルコール虫をママで抑へつけた!
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・おちつかない朝の時計のとまつてる
・旅路はいろ/\の花さいて萩
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夜は宿の人々と雑談する、行乞の話、酒の話、釣の話、等、等、――此家の人々はみんな好人物である、かういふ人々と親しくして余生を送ることができるやうになつた私の幸福を祝さう。
当地に草庵をつくるについて、今更のやうに教へられたことは、金の魅力、威力、圧力、いひかへれば金のきゝめ[#「金のきゝめ」に傍点]であつた。
私は私にふさはしくない、といふよりも不可能とされてゐた貯金[#「貯金」に傍点]を始めることになつた、保證人に対する私の保證物として!(毎月壱円)
そして、私がしみ/″\と感じないではゐられないことは、仏教の所謂、因縁時節[#「因縁時節」に傍点]である、因縁が熟しなければ、時節が来なければ、人生の事はどうする
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