で(彼氏はドクトルなり)
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・梅雨晴の梅雨の葉のおちる
□
蠅取紙
・いつしよにぺつたりと死んでゐる
・山ふかくきてみだらな話がはづむ
・山ふところのはだかとなる
・のぼりつくして石ほとけ
・みちのまんなかのてふてふで
・あの山こえて女づれ筍うりにきた
[#ここで字下げ終わり]
晩に土落《どろおと》し(田植済の小宴)、の御馳走を頂戴した(御相伴といふ奴だ)、煮しめ一皿、まだ飯一椀、私に下さる前に、牛が貰つたか知ら!(此地方は山家だから牛ばかりだ)
今朝はめづらしくどこからも来信がなかつた、さびしいと思つた、かうして毎日々々遊んでゐるのはほんたうに心苦しい、からだはつかはないけれど、心はいつもやきもきしてゐる、一刻も早く其中庵が建つやうにと祈つてゐる。……
近頃また不眠症にかゝつて苦しんでゐる、遊んで、しかも心を労する私としては、それは当然だらうて。
六月廿七日 同前。
曇、梅雨らしく。
朝蜘蛛がぶらさがつてゐる、それは好運の前徴だといはれる、しかし、今の私は好運をも悪運をも期待してゐない、だいたい、さういふものに関心をあまり持つてゐない、が、事実はかうだつた
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