ぼる
・さみしさ、あつい湯にはいる
・水のうまさは芽ぐむものにもあたへて
・食べるだけ食べてひとりの箸をおく
花ざかり豆腐屋で豆腐がおいしい
・どこかで頭のなかで鴉がなく(夢幻)
[#ここで字下げ終わり]
此宿はよい、昨夜の宿とはまた違つた意味で、――飲食店だけでは、此不景気にはやつてゆけないので安宿を始めたものらしい、うどん一杯五銭で腹をあたゝめた、久しぶりのうどんだつた、おいしかつた。
世間師には明日[#「明日」に傍点]はない(昨日[#「昨日」に傍点]はあつても)、今日[#「今日」に傍点]があるばかりである、今日一日の飯と今夜一夜の寝床とがあるばかりだ、腹いつぱい飲んで食つて、そして寝たとこ我が家、これが彼等の道徳であり哲学であり、宗教でもある。
人間の生甲斐は味ふ[#「味ふ」に傍点]ことにある、生きるとは味ふのだともいへよう、そして人間の幸は『なりきる』ことにある、乞食は乞食になりきれ、乞食になりきらなければ乞食の幸は味はへない、人間はその人間になりきるより外に彼の生き方はないのである。
金がある間は行乞など出来るものでない、また行乞すべきものでもあるまい、私もとう/\無一物、
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