三月九日[#「三月九日」に二重傍線] 曇、なか/\冷たい、滞在休養。
例の画家に酒と飯とを供養する、私が供養するのぢやない、私の友人の供養するのだから――友人から送つてくれたゲルトだから――お礼がいひたかつたら、友人にいつて下さいといつたりして大笑ひしたことだつた。
今日一日で旅のつかれがすつかりなくなつた。
三月十日[#「三月十日」に二重傍線] 雨となつた、行程二里、小城町、常盤屋(二五・上)
降りだしたので合羽をきてあるく、宿銭もないので雨中行乞だ、少し憂欝になる、やつぱりアルコールのせいだらう、当分酒をやめようと思ふ。
早くどこかに落ちつきたい、嬉野か、立願寺か、しづかに余生を送りたい。
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酒やめておだやかな雨
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こんな句はつまらないけれど、ウソはない、ウソはないけれど真実味が足りない、感激がない。
夜は文芸春秋を読む、私にはやつぱり読書が第一だ。
ほろりと前歯がぬけた、さみしかつた。
追記――川上といふところは川を挾んだ部落だが、水が清らかで、土も美しい、山もよい、神社仏閣が多い、中国の三次町に似てゐる、いはゞ遊覧地で、夏
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