[#「ばな」に「マヽ」の注記]い。
二月一日[#「二月一日」に二重傍線] 雨、曇、行程四里、千綿《チワタ》(長崎県)、江川屋(三〇・中)
朝風呂はいゝなあと思ふ、殊に温泉だ、しかし私は去らなければならない。
武雄ではあまり滞留したくなかつたけれど、ずる/\と滞留した、こゝでは滞留したいけれど、滞留することが出来ない、ほんに世の中はまゝにならない。
彼杵《ソノギ》(むつかしい読方だ)まで三時[#「時」に「マヽ」の注記]、行乞三時間、また一里歩いてこゝまできたら、降りだしたので泊る、海を見晴らしの静かな宿だ。
今日の道はよかつた、山も海も(久しぶりに海を見た)、何だか気が滅入つて仕方がない、焼酎一杯ひつかけて胡魔化さうとするのがなか/\胡魔化しきれない、さみしくてかなしくて仕方がなかつた。
[#ここから2字下げ]
・寒空の鶏をたゝかはせてゐる
・水音の梅は満開
牛は重荷を負はされて鈴はりんりん
[#ここで字下げ終わり]
最後の句は此地方の牛を表現してゐると思ふ、鈴音のりん/\は聞いてうれしいが、牛の重荷は見てかなしい。
私はだん/\生活力が消耗してゆくのを感じないではゐられない、老
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