浴万杯、八万四千浴八万四千杯の元気なし。
けふいちにちはなまけるつもりだつたが、おもひかへして、午後二時間ばかり行乞。
よき食慾とよき睡眠、そしてよき生[#「生」に「マヽ」の注記]慾とよき浪費、それより外に何物もない!
とにかくルンペンのひとり旅はさみしいね。
一月卅一日[#「一月卅一日」に二重傍線] 曇、歩行四里、嬉野温泉、朝日屋(三〇・中)
一気にこゝまで来た、行乞三時間。
宿は新湯の傍、なか/\よい、よいだけ客が多いのでうるさい。
飲んだ、たらふく飲んだ、造酒屋が二軒ある、どちらの酒もよろしい、酒銘「一人娘」「虎の児」。
武雄温泉にはあまり好意が持てなかつた、それだけこの温泉には好意が持てる。
湧出量が豊富だ(武雄には自宅温泉はないのにこゝには方々にある)温度も高い、安くて明るい、普通湯は二銭だが、宿から湯札を貰へば一銭だ。
茶の生産地だけあつて、茶畑が多い、茶の花のさみしいこと。
嬉野はうれしいの[#「うれしいの」に傍点](神功皇后のお言葉)。
休みすぎた、だらけた、一句も生れない。
ぐつすり寝た、アルコールと入浴とのおかげで、しかし、もつと、もつと、しつかりしなければな
前へ
次へ
全150ページ中38ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング