饅頭一つだつた、昨日のそれは飴豆二つだつた(いづれもおせつたい)。
厳木(きうらぎと読む)は山間の小駅だが、街の両側を小川がさう/\と流れてゐた、古風な淋しいなつかしいところだつた。
宿のおかみさんが、ひとりで弾いて唄つて浮かれてゐる、一風変つた女だ、何だか楔が一本足らないやうにも思はれるが。
同宿三人、誰もが儲からない/\といふ。
ぐうたら坊主[#「ぐうたら坊主」に傍点]、どまぐれ坊主[#「どまぐれ坊主」に傍点]、どちらもよい名前だ。
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・山路きて独りごというてゐた
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一月廿八日[#「一月廿八日」に二重傍線] 朝焼、そして朝月がある、霜がまつしろだ。
今日一日のあたゝかさうらゝかさは間違ない、早く出立するつもりだつたが、何やかや手間取つて八時過ぎになつた、一里歩いて多久、一時間ばかり行乞、さらに一里歩いて北方、また一時間ばかり行乞、そして錦江へいそぐ、今日は解秋和尚に初相見を約束した日である、まだ遇つた事もなし、寺の名も知らない、それでも、そこらの人々に訊ね、檀家を探して、道筋を教へられ、山寺の広間に落ちついたのは、もう五時近かつた
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