人、牛までゐる、そして毎晩四五人のお客だ、それを一人でやつてゐる、昨夜の宿のおかみさんもやり手だつた、四人の小さい子、それだけでも大した苦労なのに、お客さんへもなか/\よくしてくれた。
一月廿六日[#「一月廿六日」に二重傍線] 曇、雨、晴、行程六里、相知、幡夫屋(二五・中)
折々しぐれるけれど、早く立つて唐津へ急ぐ、うれしいのだ、留置郵便を受取るのだから、――しかも受け取ると、気が沈んでくる、――その憂欝を抑へて行乞する、最初は殆んど所得がなかつたが、だん/\よくなつた。
徳須恵といふ地名は意味がありさうだ、こゝの相知(〔O_chi〕)もおもしろい。
麦が伸びて雲雀が唄つてゐる、もう春だ。
大きな鰯が五十尾六十尾で、たつた十銭とは!
この宿はきたないけれど、きやすくてわるくない、同宿の跛足老人はなか/\練れた人柄で、物事に詳しかつた、土地の事、宿の事をいろ/\教はつた。
この地は幡随院長兵衛の誕生地だ、新らしく分骨を祀つて、堂々たる記念碑が建てゝある、後裔塚本家は酒造業を営んでゐる、酒銘も長兵衛とか権兵衛とかいふ独特のものである、私は無論一杯ひつかけたが、酒そのものは長兵衛でも権
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