これまで度々そのために宿で問題を惹き起したと自白してゐたが、それは素破らしいものだつた、高く低く、長く短く、うはゞみのやうでもあり、怒濤の如くでもあつた!
呼子とはいゝ地名だ、そこには船へまで出かける娘子軍がゐるさうな。
ゆつくり飲んだ、おかみさんが昨日捕れた鯨肉を一皿喜捨してくれた(昨夜は鰯の刺身を一皿貰つたが)、酒はよくなかつたが、気分がよかつた。
予期した雨となつた、明日はまた雨中行乞か、それはそれとして、かすかな波の音を聞くともなく聞きながら寝た。
(×印から)宿の娘――おばあさんの孫娘がお客の鮮人、人蔘売といつしよになつて家出したといふ、彼女は顔はうつくしいけれど跛足であつた、年頃になつても嫁にゆけない、家にゐるのも心苦しい、そこへその鮮人が泊り合せて、誘ふ水に誘はれたのだ、おばあさんがしみ/″\と話す、あなたは方々をおまはりになるから、きつとどこかでおあひになりませう、おあひになつたら、よく辛棒するやうに、そしてあまり心配しないがよい、着物などは送つてやる、と伝へてくれといふ、私はこゝろよく受け合つた、そして心から彼女に幸あれと祈つた。
この宿のおかみさんもよく働く、家内九
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