#「にい」に「マヽ」の注記]て話さう、――二三年前までは、十五六軒も行乞すれば鉄鉢が一杯になつたが(米で七合入)今日では三十軒も歩かなければ満たされない。
女は、農漁村の女はよく稼ぐ、と今朝はしみ/″\思つた、朝早く道で出逢ふ女人の群、それはみんな野菜、薪、花、干魚を荷つた中年の女達だ。
松浦潟――そのよさが今日初めて解つた、七ツ釜、立神岩などの奇勝もあるさうだが、そんな事はどうでもよい、山路では段々畠がよかつた、海岸は波がよかつた、岩がよかつた。
相賀松原もよかつた、そこには病院があつて下宿が多かつた。
島はあたゝかだつたが、このあたりも、南をうけてあたゝかい、梅は盛り、蒲公英が咲いてゐる、もう豌豆も唐豆も花を咲かせてゐる。
今日の行乞相は、湊ではあまりよくなかつたが、唐房、佐志ではわるくなかつた、――たとへば、受けてはならない三銭を返し、受けなければならない五銭をいたゞいた。
鰯、鰯、鰯、見るも鰯、嗅ぐも鰯、食べるも、もちろん、鰯である。
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・港は朝月のある風景
・しんじつ玄海の舟が浮いてゐる
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同宿のおへんろさんは大した鼾掻きだつた、
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