注記]部町へ、名護屋へ。
唐津行乞のついでに、浄泰寺の安田作兵衛を弔ふ、感じはよろしくない、坊主の堕落だ。
唐津局で留置の郵便物をうけとる、緑平老、酒壺洞君の厚情に感激する、私は――旅の山頭火は――友情によつて、友情のみによつて生きてゐる。
行乞流転してゐるうちに、よく普及してゐるのは、いひかへれば、よく行きわたつてゐるのは、――自転車[#「自転車」に傍点]、ゴム靴[#「ゴム靴」に傍点](地下足袋をふくむ)そして新聞紙[#「新聞紙」に傍点]、新聞紙の努力はすばらしい。
松浦潟の一角で泊つた、そして見て歩いた、悪くはないが、何だかうるさい。
此宿はよい、私が旅人としての第六感もずゐぶん鋭くなつたらしい、行乞六感!
よい宿だと喜んでゐたら、妙な男が飛び込んで来て、折角の気分をメチヤ/\にしてしまつた、あんまりうるさいから奴[#「奴」に「マヽ」の注記]鳴つてやつたら、だいぶおとなしくなつた。
緑平老の肝入、井師の深切、俳友諸君の厚情によつて、山頭火第一句集が出来上るらしい、それによつて山頭火も立願寺あたりに草庵を結ぶことが出来るだらう、そして行乞によつて米代を、三八九によつて酒代を与へられる
前へ
次へ
全150ページ中24ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング