日」に二重傍線] 曇、唐津市街行乞、宿は同前。
九時過ぎから三時頃まで行乞、今日の行乞は気分も所得もよかつた、しみ/″\仏陀の慈蔭を思ふ。
こゝの名物の一つとして松露饅頭といふのがある、名物にうまいものなしといふが、うまさうに見える(食べないから)、そしてその本家とか元祖とかいふのが方々にある。
小鰯を買つて一杯やつた、文字通り一杯だけ、昨夜の今夜だから。
[#ここから2字下げ]
・けふのおひるは水ばかり
・山へ空へ摩訶般若波羅密多心経
[#ここで字下げ終わり]
晩食後、同宿の鍋屋さんに誘はれて、唐津座へ行く、最初の市議選挙演説会である、私が政談演説といふものを聴いたのは、これが最初だといつてもよからう、何しろ物好きには違ひない、五銭の下足料を払つて十一時過ぎまで謹聴したのだから。
一月廿一日[#「一月廿一日」に二重傍線] 曇、いよ/\雨が近いことを思はせる。
貯へを持たないルンペンだから、ぢつとしてはゐられない、九時半から三時半まで行乞。
近松寺に参拝した、巣林子に由緒あることはいふまでもない、その墓域がある、記念堂の計画もある、小笠原家の菩提所でもある、また曽呂利新左衛門が
前へ
次へ
全150ページ中22ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング