所[#「死場所」に傍点]をこゝにこしらへよう。

 五月廿七日[#「五月廿七日」に二重傍線] 晴、行程七里、安岡町行乞、下関、岩国屋(三〇・中)

ぢつとしてはゐられないので出発する、宿料が足らないので袈裟を預けて置く、身心鈍重、やうやく夕暮の下関に着いた。
久しぶりに地橙孫君を訪ねて歓談する、君はいつも温かい人だ、逢ふたびに、人格が磨かれつゝあることを感じる。
夜更けてから馴染の宿に落ちつく、今夜は地橙孫君の供養によつて飲みすぎた、安価な自分が嫌になる。……

 五月廿八日[#「五月廿八日」に二重傍線] 晴、船と電車、酒と魚、八幡市、星城子居。

星城子君の歓待は恐縮するほどだつた、先日来の身心不調で、御馳走が食べられないで困つた、好きな酒さへ飲めなかつた、この罰あたりめ! と自分で自分を憫れんだ。
夜、いつしよに仙波さんを訪ねる、こゝでも懇ろにもてなされた、お布施までいたゞいた。
葉ざくら、葉ざくら、友のなさけが身にしみる。
工藤君からハガキをうけとつたのはうれしかつた、伊東君からも、国森君からも。
私は、私のやうなものが、こんなにしてもらつていゝのだらうか、と考へずにはゐられない
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