密柑の里だ、あの甘酸つぱい匂ひは少年の夢そのものだ。
松原の、松のないところは月草がいちめんに咲いてゐた、月草は何と日本的のやさしさだらう。
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・ふるさとはみかんのはなのにほふとき
・若葉かげよい顔のお地蔵さま
初夏の坊主頭で歩く
歩くところ花の匂ふところ
□
・コドモが泣いてハナが咲いてゐた
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五月廿五日 廿六日[#「五月廿五日 廿六日」に二重傍線] 雨、風、晴、発熱休養、宿は同前。
とても動けないので、しようことなしに休養する、年はとりたくないものだ、としみ/″\思ふ。
終日終夜、寝そべつて、並べてある修養全集を片端から読みつゞける、それはあまりに講談社的だけれど。――
病んで三日間動けなかつたといふことが、私をして此地に安住の決心を固めさせた、世の中の事は、人生の事は何がどうなるか解るものぢやない、これもいはゆる因縁時節[#「因縁時節」に傍点]か。
嬉野と川棚とを比べて、前者は温泉に於て優り、後者は地形に於て申分がない、嬉野は視野が広すぎる、川棚は山裾に丘陵をめぐらして、私の最も好きな風景である。
とにかく、私は死場
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