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蚤と蚊と煩悩に責められて、ちつとも睡れなかつた、千鳥が鳴くのを聞いたが句にはならなかつた。……
先日からいつも同宿するお遍路さん(同行といふべきだらうか)、逢ふたびに、口をひらけば、いくら貰つた、どこで御馳走になつた、何を食べた、いくら残つた、等々ばかりだ、あゝあゝお修行[#「お修行」に傍点]はしたくないものだ、いつとなくみんな乞食根性になつてしまふ!
五月廿四日[#「五月廿四日」に二重傍線] 晴、行程わづかに一里、川棚温泉、桜屋(四〇・中)
すつかり夏になつた、睡眠不足でも身心は十分だ、小串町行乞、泊つて食べて、そしてちよつぽり飲むだけはいたゞいた。
川棚温泉――土地はよろしいが温泉はよろしくない(嬉野に比較して)、人間もよろしくないらしい、銭湯の三銭は正当だけれど、剃髪料の三十五銭はダンゼン高い。
妙青寺(曹洞宗)拝登、荒廃々々、三恵寺拝登(真言宗)、子供が三人遊んでゐた、房守さんの声も聞える、山寺としてはいゝところだが。――
歩いて、日本は松の国[#「日本は松の国」に傍点]であると思ふ。
新緑郷――鉄道省の宣伝ビラの文句だがいゝ言葉だ――だ、
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