此頃また朝魔羅が立つやうになつた、『朝、チンポの立たないやうなものに金を貸すな』、これも名言だ。
人生五十年、その五十年の回顧、長いやうで短かく、短かいやうで長かつた、死にたくても死ねなかつた、アルコールの奴隷でもあり、悔恨の連続でもあつた、そして今は!
一月十日[#「一月十日」に二重傍線] 晴、二里、散策、神湊、隣船寺。
一月十一日 晴、歩いたり乗つたりして十里、志免、富好庵。
一月十二日 雨后晴、足と車とで十余里、姪ノ浜、熊本屋。
此三日間の記事は別に書く。
[#ここから2字下げ]
・朝から泣く児に霰がふつてきた
・寒い空のボタ山よさようなら(志免)
福寿草を陽にあてゝ縫うてゐられた(千鶴女居)
[#ここで字下げ終わり]
一月十三日[#「一月十三日」に二重傍線] 曇つて寒かつた、霙、姪ノ浜、熊本屋(二五・中)
東油山観世音寺(九州西国第三十番)拝登。
[#ここから2字下げ]
・けふは霰にたたかれて
[#ここで字下げ終わり]
今日は行乞は殆んど出来なかつた、近道を教へられて、それがために却つて遠道をしたりして一層労れた。
お山の水はほんたうにおいしかつた、岩の
前へ
次へ
全150ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング