さずにはゐられない、一昨年はあんなに楽しく語りあつたのに、今は東西山河をへだてゝ、音信不通に近い。
白髪を剃り落してさつぱりした(床屋の職人、多分鮮人だらうが、乱暴に取扱つた)。
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逢ふまへの坊主頭としておく
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香春岳にはいつも心をひかれる、一の岳、二の岳、三の岳、それがくつきりと特殊な色彩と形態とを持つて峙えてゐる、よい山である、忘れられない山である。
此宿も悪くない、五銭奮発して上客なんだから、部屋もよく夜具もよかつたが、夜おそく、夫婦者が泊つたので大きい部屋へ移されたのは残念だつた、折角、一室一燈一人で、読書してゐたのに。

 四月卅日[#「四月卅日」に二重傍線] 雨后曇、后晴、再び緑平居に入る。

雨、雨、かう雨がふつてはやりきれない、合羽を着て、水に沿うて、ぶら/\歩いて、緑平居の客――厄介な客だと自分でも思つてゐる――となる。
雨後の新緑のめざましさ、生きてゐることのよろこびを感じる。
夕方、予期した如く、緑平老が出張先から戻つて来た、酒、話、ラヂオ、……友情のありがたさよ。
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 窓一つ芽ぶいた
 旅空の煙
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