だから、十時過ぎてから、合羽を着て出立する、一時間ばかりで晴れてきた、どし/\歩いて神湊まで八里、久々で俊和尚に相見、飲んで話して書いて。――
俊和尚が浮かない顔をしてゐると思つたら、夫婦喧嘩して奥さんが実家へ走つたといふ、いろ/\宥めて電話をかけさせる、私と俊和尚とは性情に於て共通なものを持つてゐる、それだけ一しほ人事とは思へない、彼も憂欝、私も憂欝になる。
筑前の海岸一帯は美しい松原つゞきだが、殊に津屋崎海岸の松原は美しい、津屋崎の町はづれの菜の花も美しかつた、いちめんの花菜で、めざましいながめである(こゝでまた、筒井筒振分髪のH子をおもひだした)。
風がふいた、笠どころか、からだまで吹きまくるほどの風だ、旅人をさびしがらせるよ。
今夜は俊和尚の典座だ、飯頭であり、燗頭[#「燗頭」に傍点]であつた、ふらん草のおひたし、山蕗の甘煮、蕨の味噌汁、みんなおいしかつた、おいしく食べてぐつすり寝た。
かういふ手紙を書いた、それほど俊和尚はなつかしい人間だ。――
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また松のお寺の客となりました、俊禅師貎下の御親酌には恐入りました、サービス百パーセント、但しノンチツプ、折か
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