がある、江戸ツ児で面白い肌合だ(私が彼を覚えてゐたやうに、彼もまた私を覚えてゐた)。
今日もよい日だつた、ほんたうにほどよい日だつた、ほどよく酔ひ、ほどよく眠つた。
よい食慾とよい睡眠、これから人生の幸福が生れる。
四月十六日[#「四月十六日」に二重傍線] 薄曇、市街行乞、宿は同前。
福岡は九州の都である、あらゆる点に於て、――都会的なもの[#「都会的なもの」に傍点]を感じるのは、九州では福岡だけだ。
今日の行乞相はよかつた、水の流れるやうだつた(まだ雲のゆくやうではないけれど)、しかし福岡は――市部はどこでも――行乞のむつかしいところ、ずゐぶんよく歩いたが、所得は、やつと食べて泊つて、ちよつぴり飲めるだけ。
一銭、一銭、そして一銭、それがたゞアルコールとなるばかりでもなかつた、今日は本を買つた(達磨大師についての落草談)、読んで誰かにあげやう、緑平老にでも。
春を感じる、さくらはあまり感じない、それが山頭火式だ。
夜は中洲の川丈座へゆく、万歳オンパレードである、何といふバカらしさ、何といふホガらし[#「し」に「マヽ」の注記]さ。
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・昼月に紙鳶をたたかはせ
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