気持になつた。
一月六日[#「一月六日」に二重傍線] 晴、行程三里、神湊、隣船寺。
赤間町一時間、東郷町一時間行乞、それから水にそうて宗像神社へ参拝、こんなところにこんな官幣大社があることを知らない人が多い。
神木楢、石牌無量寿仏、木彫石彫の狛犬はよかつた。
水といつしよに歩いてゐさへすれば、おのづから神湊へ出た、俊和尚を訪ねる、不在、奥さんもお留守、それでもあがりこんで女中さん相手に話してゐるうちに奥さんだけは帰つて来られた、遠慮なく泊る。
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・蘭竹もかれ/″\に住んでゐる
咲き残つたバラの赤さである
・つきあたつて墓場をぬけ
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一月七日[#「一月七日」に二重傍線] 時雨、休養、潜龍窟に蛇が泊つたのだ。
雨は降るし、足は痛いし(どうも脚気らしい)、勧められるまゝに休養する、遊んでゐて、食べさせていたゞいて、しかも酒まで飲んでは、ほんたうに勿躰ないことだ。
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・松のお寺のしぐれとなつて
・遠く近く波音のしぐれてくる
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一月八日[#「一月八日」に二重傍線] 雪、行程六里、芦屋町
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