月三十一日」に二重傍線]
やつぱり独りがよい。
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女の話はなしつゞけて袋貼りつゞける
(隣室の若者に)
袋貼り貼り若さを逃がす
・ラジオ声高う寒夜へ話しかけてゐる
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二月一日[#「二月一日」に二重傍線] 降つたり霽れたり、夜はおぼろ月がうつくしかつた。
三八九第一集を発送して、重荷を下ろしたやうに、ほつとしたことである、心も軽く身も軽くだ。
今日もまた苦味生さんの真情に触れた。
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・笛を吹いても踊らない子供らだ
・あるだけの米を炊いて置く
競《セ》るほどに売るほどに暮れた
・逢ふまへのたんぽゝ咲いてゐる
一杯やりたい夕焼空
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俳句は一生の道草とはおもしろい言葉かな。
二月二日[#「二月二日」に二重傍線] また雨、何といふ嫌らしい雨だらう。
私も人並に風邪気味になつてゐる。
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更けてやつと出来た御飯が半熟
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ゲルトが手にいつたので、何よりもまづ米を、炭を、そして醤油を買つた(空気がタダなのはほん
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