ない、あたゝかい方々ばかりだつた。
[#ここから2字下げ]
闘牛児居即詠
・ひとりで生え伸びて冬瓜の実となつてゐる
花柳菜たくさん植えて職が見つからないでゐる
垣根へ□□げられた芙蓉咲いて
・朝の茶の花二つ見つけた
・菊一株のありてまだ咲かない
可愛い掌《テ》には人形として観音像
すこし風が出てまづ笹のそよぐ
子供むしつては花をならべる
日を浴びて何か考へてござる
紅足馬居即事
お約束の風呂の煙が秋空へ
・夕顔白くまた逢うてゐる
[#ここで字下げ終わり]
十月廿二日[#「十月廿二日」に二重傍線] 曇、行程三里、福島、富田屋(三〇・上)
おだやかな眼ざめだつた、飲み足り話し足り眠り足つたのである、足り過ぎて、疲れと憂ひとを覚えないでもない、人間といふものは我儘な動物だ。
八時出立、途中まで紅闘二兄が送つて下さる、朝酒の酔が少しづゝ出てくる、のらりくらり歩いてゐるうちに、だるくなり、ねむくなり、水が飲みたくなり、街道を横ぎらうとして自動車乗りに奴鳴りつけられたりする(彼があまりに意地悪い表情をしたので、詫の言葉が口から出なかつた)、二里ばかり来て、路傍の林の
前へ
次へ
全173ページ中71ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング