じないではゐられないので、その感じを句として表現したに過ぎない、試作、未成品、海のものでも山のものでも、もとより畑のものではない。
かういふ歌が――何事も偽り多き世の中に死ぬことばかりはまことなりけり――忘れられない、時々思ひ出しては生死去来真実人に実参しない自分を恥ぢてゐたが、今日また、或る文章の中にこの歌を見出して、今更のやうに、何行乞ぞやと自分自身に喚びかけないではゐられなかつた、同時に、木喰もいづれは野べの行き倒れ犬か鴉の餌食なりけりといふ歌を思ひ出したことである。
十月十七日[#「十月十七日」に二重傍線] 曇后晴、休養、宿は同前。
昨夜は十二時がうつても寝つかれなかつた、無理をしたゝめでもあらう、イモシヨウチユウのたゝりでもあらう、また、風邪気味のせいでもあらう、腰から足に熱があつて、倦[#「倦」に「マヽ」の注記]くて痛くて苦しかつた。
朝のお汁に、昨日途上で貰つて来た唐辛を入れる、老来と共に辛いもの臭いもの苦がいもの渋いものが親しくなる。
昨日といへば農家の仕事を眺めてゐると、粒々辛苦といふ言葉を感ぜずにはゐられない、まつたく粒々辛苦だ。
身心はすぐれないけれど、むり
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