らたちの垣
身すぎ世すぎの大地で踊る
・夕べの食へない顔があつまつてくる
・霜夜の寝床が見つからない
[#ここで字下げ終わり]
十二月十六日[#「十二月十六日」に二重傍線] 晴、行程三里、熊本市、本妙寺屋(四〇・下)
堅いベンチの上で、うつら/\してゐるうちにやうやく朝が来た、飯屋で霜消し一杯、その元気で高橋へ寝床を探しにゆく、田村さんに頼んでおいて、ひきかへして寥平さんを訪ねる、今日も逢へない、茂森さんを訪ね、夫婦のあたゝかい御馳走をいたゞく、あまりおそくなつては、今夜も夜明しするやうでは困るので、いそいで本妙寺下の安宿を教へられて泊る、悪い宿だけれど仕方がない、更けるまで寝つかれないので読んだ(書くほどの元気はなかつた)。
こんど熊本に戻つてきて、ルンペンの悲哀をつく/″\感じた、今日一日は一句も出来なかつた。
十二月十七日[#「十二月十七日」に二重傍線] 霜、晴、行程六里、堕地獄、酔菩薩。
朝、上山して和尚さんに挨拶する(昨夜、挨拶にあがつたけれど、お留守だつた)、和尚さんはまつたく老師だ、慈師だ、恩師だ。
茅野村へ行つて土地を見てまはる、和尚さんが教へて下さつた庵
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