飛行機着いたよ着いたよ波
飛行機飛んで行つた虹が見える
無電塔、またしぐれだした
蚤も虱もいつしよに寝ませう
暮れ残る頂の枯すゝき
すさまじい響の大空曇る
[#ここで字下げ終わり]
時雨亭さんは近代人、都会人であることに疑いない、あまり神経がこまかくふるへるのが対座してゐる私の神経にもつたはつて、時々私自身もやりきれないやうに感じけ[#「じけ」に「マヽ」の注記]れど、やつぱり好意の持てる人である。
十二月七日[#「十二月七日」に二重傍線] 晴、行程四里、二日市町、わたや(三〇・中)
早く眼は覚めたが――室は別にして寝たが――日曜日は殊に朝寝する時雨亭さんに同情して、九時過ぎまで寝床の中で漫読した、やうやく起きて、近傍の大仏さんに参詣して回向する、多分お釈迦さんだらうと思ふが、大衆的円満のお姿である、十一時近くなつて、送られて出立する、別れてから一時頃まで福岡の盛り場をもう一度散歩する、かん酒屋に立ち寄つて、酢牡蠣で一杯やつて、それでは福岡よ、さよなら!
ぽか/\と小春日和だ、あまり折れ曲りのない道をこゝまで四里、酔が醒めて、長かつた、労いた[#「いた」に「マヽ」の注
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