つすぐに福岡へ急ぐ、十二時前には、すでに市役所の食堂で、酒壺洞君と対談することが出来た(市役所で、女の給仕さんが、酒壺洞君から私の事を聞かされてゐて、うろ/\する私を見つけて、さつそく酒壺洞君を連れて来てくれたのはうれしかつた)、退庁まではまだ時間があるので、後刻を約して札所めぐりをする、九州西国第三十二番は龍宮寺、第三十一番は大乗寺、どちらも札所としての努力が払つてない、もつと何とかしたらよさゝうなものだと思ふ。
夜は酒壺洞居で句会、時雨亭さん、白楊さん、青炎郎さん、鳥平さん、善七さんさ[#「さ」に「マヽ」の注記]んに逢つて愉快だつた、散会後、私だけ飲む、寝酒をやるのはよくないのだけれど。……
さすがに福岡といふ気がする、九州で都会情調があるのは福岡だけだ(関門は別として)、街も人も美しい、殊に女は! 若い女は! 街上で電車切符売が多いのも福岡の特色だ。
存在の生活[#「存在の生活」に傍点]といふことについて考へる、しなければならない、せずにはゐられないといふ境を通つて来た生活、『ある』と再認識して、あるがまゝの生活、山是山から山非山を経て山是山となつた山を生きる。……
役所のヒケの
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