ンペン、君たちも私も同じ道を辿るのだね。
枯草の上で、老遍路さんとしみ/″\話し合つた、何と人なつかしい彼だつたらう、彼は人情に餓えてゐた、彼は老眼をしばたゝいてお天気のよいこと、人の恋しいこと、生きてゐることのうれしさとくるしさとを話しつゞけた(果して私はよい聞手だつたらうか)。
夜は緑平居で句会、門司から源三郎さん、後藤寺から次郎[#「郎」に「マヽ」の注記]さん、四人の心はしつくり融け合つた、句を評し生活を語り自然を説いた。
真面目すぎる次郎さん、温情の持主ともいひたい源三郎さん、主人公緑平さんは今更いふまでもない人格者である。
源三郎さんと枕をならべて寝る、君のねむりはやすらかで、私の夢はまどかでない、しば/\眼ざめて読書した。
日が落ちるまへのボタ山のながめは、埃及風景のやうだつた、とでもいはうか、ボタ山かピラミツドか、ガラ炭のけむり、たそがれる空。
オコリ炭、ガラ炭、ボタ炭、ビフン炭(本当のタドン)、等、等、どれも私の創作慾をそゝる、句もだいぶ出来た、あまり自信はないけれど。
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けふは逢へる霜をふんで(源三郎さんに)
落葉拾ふてはひとり遊んでゐる
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