た、人間は互に闘はなければならないのか、闘はなければならないならば、もつと正直に真剣に闘へ。
此二つの記事が何を教へるか、考ふべし、よく考ふべし。
十一月廿七日[#「十一月廿七日」に二重傍線] 晴、読書と散歩と句と酒と、緑平居滞在。
緑平さんの深切に甘えて滞在することにする、緑平さんは心友だ、私を心から愛してくれる人だ、腹の中を口にすることは下手だが、手に現はして下さる、そこらを歩い見[#「い見」に「マヽ」の注記]たり、旅のたよりを書いたりする、奥さんが蓄音機をかけて旅情を慰めて下さる、――ありがたい一日だつた、かういふ一日は一年にも十年にも値する。
夜は二人で快い酔にひたりながら笑ひつゞけた、話しても話しても話は尽きない、枕を並べて寝ながら話しつゞけたことである。
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・生えたまゝの芒としてをく(緑平居)
・枝をさしのべてゐる冬木( 〃 )
ゆつくり香春も観せていたゞく( 〃 )
・旅の或る日の蓄音機きかせてもらう( 〃 )
・風の黄ろい花のいちりん
泥炭車《スキツプ》ひとりできてかへる
泥炭山《ボタヤマ》ちかく飛行機のうなり
夕日の机で旅のたより書
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