にうづもれ□□
 吹きまくられる二人で登る
 好きな僕チヤンそのまゝ寝ちまつた(源三郎居)
・このいたゞきにたゞずむことも

・水飲んで尿して去る
 水飲めばルンペンのこゝろ
・雨の一日一隅を守る
[#ここで字下げ終わり]

 十一月廿四日[#「十一月廿四日」に二重傍線] 曇、雨、寒、八幡市、星城子居(もつたいない)

今日も亦、きちがい日和だ、裁判所行きの地橙孫君と連れ立つて歩く、別れるとき、また汽車賃、辨当代をいたゞいた、すまないとは思ふけれど、汽車賃はありますか、辨当代はありますかと訊かれると、ありませんと答へる外ない、おかげで行乞しないで、門司へ渡り八幡へ飛ぶ、やうやく星城子居を尋ねあてゝ腰を据える、星城子居で星城子に会ふのは当然だが、俊和尚に相見したのは意外だつた、今日は二重のよろこび――星氏に会つたよろこび、俊氏に逢つたよろこび――を与へられたのである。
俊和尚は予期した通りの和尚だつた、私は所謂、禅坊主はあまり好きでないが、和尚だけは好きにならずにはゐられない禅坊主だ(何と不可思議な機縁だらう)。
星城子氏も予期を裏切らない、いや、予期以上の人物だ、あまり優遇されるので恐
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